名誉会長のRunブログ

ヤクタターズ名誉会長の活動報告

走りきるとは、こういうことか

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トレランを始めた頃から思っていたこと。

 

登りでは、周囲の集団よりも圧倒的に速く登っていけるのに、

下りで一気に抜かれる。

これが、本当に悔しい。

下りは、たしかに筋力も必要だけど、

持久力の中核的要素である循環器系にあまり負荷はかからないし、

そもそも、ランニングでいう「前へ」進む、推進力も必要としないから、

「こんなのランニングじゃない」感が半端なく。

 

また、距離が伸びれば伸びるほど、

累積が嵩めば嵩むほど、

疲労問題を抱える自分にはどんどん不利になるから、

終盤足が止まった時に、本来の力が出せないまま終わるのが、

本当にやるせない感じがし。

 

で、もしかしたら、

一山登るだけのバーティカルなら、通用するんじゃないか、と。

去年あたりからふと思い始めて。

 

 

その予感は、まさに的中。

ここまで違うものか、と。

 

 

前回の尾瀬岩鞍が中止になったせいか、

今回のエントリーリストは、おそらく今シーズン最強のメンバーが勢揃い。

出てないのは、うえだるいくんと、ウルトラ系の人だけ、

といってもいいほどのメンツ。

 

トレランで、スタート前にアップしてる人間が、

ぞろぞろいるのは、異様でしょ。

流しとか、普通しないし。

 

事前のコース説明で、

短距離とはいえ、絶対に序盤は脚を使ってはいけない、

と肝に銘じ、勝負所のラスト1km、ラスト累積200mまでは、

抑えていくぞ、と冷静にスタート。

 

って、バーティカルって、最初から全力なのかよ。

いきなり、40人くらいに置いていかれる。

 

いつものスカイレースとはまるでスピードが違うことに、圧倒され、

もうこれはついていくしかない、状態。

 

1.5kmまでは、ロード区間なのでそこそこ走れるものの、

完全に「閾値」は超えており、

異常なまでの呼吸の荒さ。

周りはみんな若いから、こんなハーハーいってるのは、

自分だけ。

そうこうしているうちに、

登山区間にはいり、勾配は本格的にきつくなる。

同時に、「にわか」な人たちは、どんどん落ちてくるから、

ハーハー言いながら、一人ずつ拾っていく。

常に、2000mとか3000mとかを走ってるような呼吸の苦しさではあるものの、

足はなんとか余裕があり、気づくと、100m(表示がある)の累積を重ね、

いよいよ、勝負所の最終エイド。

ここから、わずか1kmちょっとで200mを一気に上る。

登山をした人ならわかると思いますが、

山頂手前は一気に勾配が急になるのです。

 

でも、脚はまだまだ動くので、

この勾配でもランを絡めながら、確実に前へ。

 

最後の岩場に入り、

もう呼吸は限界に達していたものの、

タイムが60分台とわかり俄然やる気が出て、

動かせるだけ脚を動かし、

なんとか68分台でゴール。

スタート前、まつもと大くんのベストが61分と聞いていたので、

この結果にはちょっと信じられず。

 

山頂は、若者だらけで、みんな常連で友達同士。

そこに一人おっさんが紛れ込んで、

なんだか場違いな感じ。

でも、恥を覚悟で、若者一人にお願いして、登頂記念撮影を依頼。

この年になるとね、こういうことが、人生の宝になるのですよ。

 

優勝の「世界のミヤハラ」は、54分台という意味がわからない記録ですが、

このメンバーで22位に入れたのは、

非常に自信になりました。

いや、トレランで、初めてやれるかもしれないと、手応えを感じた瞬間。

びわ湖バレイバーティカル部門のエリート認定ももらえるし。

(エントリーは終わっているので、バーティカルでの出場は無理)

むしろ、「もう、バーディカルでいいんじゃね」と、

下山しながら、そんな頭も・・・。

 

 

だけど、

実際、こうして、自分に有利な条件でさくっと走れてしまうと、

なんだか、「それ、ちがくないか?」と。

まだ、スカイレース、まともに走りきってないし。

上田、太郎山競走ではお医者さんの世話になってるし。

そこから逃げてるだけじゃないか?とか、言う人が頭の中にいるんですね。

たしかに、あのしんどさは想像以上なのだけれども。

 

 

ひとつだけ、大人げないことを言わせてもらうと、

今日、おそらく人生で最初で最後になるであろう、

あの「世界のタカムラ」に勝ったことは、

地味に嬉しかったなぁ。