名誉会長のRunブログ

ヤクタターズ名誉会長の活動報告

発症の経緯

ヤクタの皆さんには既知の事実ですが、
大学2年の5月に、自分は走れなくなりました。

医者を6~7件回って様々な検査をしましたが、
結局、どこへ行ってもはっきりとした病名や原因は分からず、
最終的には、当時「慢性疲労症候群」の研究で有名だった、
帝京大学病院で、そう診断され、薬を処方されました。


結論を先に言えば、現在もそれが根治しておらず、
自分のランニングパフォーマンスに大きく影響していることは、
まぎれもない事実です。

当時から、「心理的問題」と指摘する多くの方がいましたが、
もし、モチベーションや情熱、エフォートの問題であるならば、
こうして20年以上も同様な症状を自覚することはないでしょう。



慢性疲労症候群は、
ある共通した症状を持つ疾病、あるいは自覚症状の一群であるため、
それを決定づける生化学的、神経学的な指標や、特効薬などは存在せず、
同じような症状を抱える患者でも、
その発症機序や改善の過程は皆違います。

自分の場合、発症のきっかけだけは、はっきりしています。


大学2年の5月、関東インカレの応援で、
一日中、季節外れの炎天下にさらされ、
その日の夜に熱中症を発症しました。

当時は、その重大さに気がつかず、
全く下がらなくなった体表面の温度を、氷嚢で冷やすのみ。

最近になって分かったことですが、
こうした体温調節機能の不全は、体内の電解質バランスを崩し、
水分を体外に排出しようとする働きが高まるようです。

その結果、翌日から経験したことのない下痢が24時間続くようになり、
簡単な流動食と水分だけを摂る生活が4~5日続きました。
この間の減少体重は4kg。
明らかに異常でした。

ようやく下痢はおさまり、食事も普通にとれるようになりましたが、
この1週間の衰弱は激しく、体に力が入らない状態が続いたため、
ひとまず病院で点滴だけは打つことにしました。


ここで本来、ひと月ほどはしっかり休むべきでした。

しかし、今と違って、学生時代は一月どころか、
一週間のブランクですら耐えがたいものがあり、
競技を再開したい焦りばかりが先行しました。

すぐにジョグを再開し、ジョグができれば次はポイント練と、
今から考えると非常に危険な行動をとりつづけていました。

案の定、6月からは原因不明の微熱が一月以上続きました。
免疫機能が極端に低下し、何らかの感染症が発症していたと考えられます。
それでも練習を継続し、
ついにある時、ジョグペースの練習であっても、途中で立ち止まるようになりました。

その後、症状は悪化を続け、
5分の立位ですら維持できず、
日常的に過眠の状態に陥りました。

何時間寝ても朝は起きれず、
日中は何をしていても眠気が襲います。
何をするのも億劫で、生活をする意欲すら消失していきました。

幸い、大学は夏休みに入り、
その年の8月は、ほとんどを家で寝て過ごすことになりました。




こうして、いわゆる慢性疲労状態が続いていくわけですが、
おそらく、この時の自分の体には、
細胞レベルでの、不可逆的な
非常に大きな損傷が生じていたことが推測されます。

栄養不良の状態で激しい身体活動を行い、
本来栄養素によって修復されるべき損傷した(後になって分かったのは、酸化した)細胞が、
完全に修復されないまま次の損傷が生じ、
結果的に、元に戻らなくなった状態です。